これまで就労移行支援について数稿このブログにあげてきたが、就労移行支援の制度について分かりやすく書けてこなかったような気がする。正直、筆者のような素人には、このような障害福祉サービスのことを書くのは難しいのである。
そんなわけで、この際できるだけわかりやすく書こうと思う。
◆ 準拠法
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)
※ 就労移行支援は、この法律にのっとった障害福祉サービスである。以下、法律と表現する。
◆ 対象者
身体、知的、精神(発達)障害者、難病患者の中で、
一般企業への就職が見込まれる65歳未満の者(専ら障害者枠)
かつ、単独での就職活動が困難な者が対象者になるが、障害者枠での就職活動では、求職者のサポート役がいることを企業が期待するので(企業によりニーズは様々だが)、実質単独での活動は難しいだろう。
※ 作業所(就労継続支援)等の希望者は対象外。ただし、就労移行支援終了後、一般就労できなかった場合、就労継続支援の利用に振られることはあるようだ。
就労移行支援事業所に入所する際に、面談等の手段で、一般就労の可能性が高いかどうか見極めがされるようだ。つまり、利用希望者がすべて実際に利用可能な制度ではない。
筆者がこれまで受けてきた面談で、職歴を有することが高評価につながるという手ごたえを感じている。
また、就労移行支援では、雇用契約(労働契約)を結ぶわけではないことに留意する必要がある。ただし、一部事業所のプログラムによっては、工賃(雇用契約に基づかない)が支給されることもありうるらしい。
◆ サービス内容(活動内容)
・一般企業に就職するためのノウハウやスキルを習得する
・企業での実習などを行い、就職へ結びつける
・企業入社後の定着を図るためのサポートを受けられる(ジョブコーチのようなもの)
私見だが、就労移行支援を、模擬会社、模擬入社みたいに考えてみると、訓練やリワークを行う意味が分かるかと思う(ただし実習は企業で行うので、本番には違いないが)。
利用しての実感だが、出席は勤務、通所は通勤、利用者同士のつながりは会社での人間関係に例えられるように感じる。
提供されるプログラムは事業所(施設)によって様々で、職業体験訓練やビジネスマナー・スキルの習得、パソコンスキルの習得をはじめ、多くあると思われるが、中には生活リズム管理や運動プログラムなどがリワーク系のプログラムが提供されているところもある。
※ 一律の法律サービスではあるが、事業所によりサービス内容に特徴があり、職業訓練に特化したサービスや、リワークに特化したサービスがある。二次精神障害のある発達障害者は、精神障害のサポートを優先させたほうがいいと考える。
対象障害者や得意分野など事業所によって、プログラムに個性、創意工夫があるので、自分の特性に合った事業所、サービスを選択する必要がある。法律行政サービスだからと言って、どの事業所でも提供サービスが一律ということはない。
◆ 利用料金
法律に則って利用料金の自己負担額が決まっている。
原則、利用料金の1割負担だが、前年の所得によって、以下のように負担上限額がある。
住民税均等割非課税(および生活保護受給者):自己負担0円
住民税所得割16万円未満:自己負担上限月額9,300円
住民税所得割16万円以上:自己負担上限月額37,200円
※ 自治体によって自己負担額の減免ローカルルールがあるようなので、要確認
この障害福祉サービスには、健康保険や介護保険のような保険制度はないが、事業者の報酬請求は点数制度で、健康保険に似ている。
就職率が著しく低い事業所は、算定できる報酬が少なくなるので、利用料金が通常よりも安めになるはず。
自己負担が発生する場合、点数の合計で、利用1日あたり約1,000円前後事業者に直接支払うことになる。
◆ 申請方法、利用までのフロー
住所地の役所の福祉担当部署か保健所(精神障害者の場合)に相談、申請する。
市区町村が実施主体である。
フローは、東京都の次のページが正確だ。
◆ その他
利用者の年齢層は、厚生労働省の資料によれば、30歳以下の層で利用者全体の約半数を占め、若年層の利用が多い制度だが、筆者の通う施設は、対象が主に職歴有の人なので、年齢層が高い印象を受ける。
利用料金や報酬などについては、コチラを参照されたい。
筆者がうまく就職できるように祈っていただければ幸いである。
(参考文献:厚生労働省ウェブサイト – http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/27gaiyou03.pdf)
(参考文献:厚生労働省ウェブサイト – http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/3b.pdf)