東京都心部と東部・北部を中心に多くの路線がある、都営バス。
身体障害者手帳・療育手帳を保持している乗客(および介助者)に対する割引制度は完備されているが、精神障害者についてはその制度が整備されているかどうかの情報がわかりづらい。
身体障害者手帳・療育手帳保持者に対しては地下鉄などすべての割引があるが、精神障害者手帳保持者については、都営バスのみの割引である。
それも、東京都民か、都民以外かで、割引対象が全く異なるので、本稿でその内容を極力整理し、クリアにしていきたいかと思う。
目次
精神障害者手帳でも都営バスは5割引
東京都外在住の方でも、精神障害者手帳を含め、障害者手帳を呈示すればバスの運賃が半額になることを知らない方が多いのではないかと思う。
ざっくり要約すれば、
東京都民:都営交通無料乗車券(身体・知的※)または都営交通乗車証(精神)呈示で完全無料 ※全ての都営交通
都民以外:それぞれの種別の障害者手帳呈示で5割引(定期券は3割引)※ 都営バスのみ(下記参照)
というところである。
都営バスの障害者割引に関する公式の案内は三障害で一元化されていなくて、情報の出所がバラバラであるので、本稿においてその情報を極力まとめたいかと思う(東京都は、障害種別によって担当部局が違うため。他の道府県と比べて、情報もより縦割りである)。
※ 都営交通無料乗車券の交付対象は身体・知的障害者だけではなく、一定の要件を満たしたその他の属性の都民にも交付される。なぜか、精神障害者だけは担当部局の違いからか、この制度から除外されている。
※ 本稿で取り上げる対象は、バスだけである。その他の対象である地下鉄・都電荒川線・日暮里舎人ライナーについては、本稿の割引内容は適用されないので注意されたい。(精神障害者手帳を保持する場合、バス以外の都営交通は割引されない。)
※(免責事項)以下の情報は本稿執筆時点の概要であるため、実際に利用される際には、詳細について当該事業者に各自確認をお願いします(特に介助者の付き添い要否に関して)。
割引制度の詳細【東京都民以外の手帳保持者・すべての介助者】
【対象者】
精神・身体・知的障害者
(全種別)
障害者本人および介助者
※ 介助者の人数の規定は特になし
※ 手帳を保持していれば割引を受けられるが、東京都民は割引によらず、以下の制度により無料で乗車できる。
【対象区間・設備】
都営バス全区間
【運賃割引率】
普通運賃:50%(半額:障害・等級による区別なし)
定期運賃:30%(豊洲01系統および都営交通連絡定期券を除く)
※ 都営交通連絡定期券については、精神は適用対象外
【運賃支払(乗車券購入)方法】
都バス全線では(青梅地区を除く)、乗車時に手帳を呈示して、半額の運賃を運賃箱に入れる。(青梅地区では降車時)
定期券に関しては、都バス定期券売り場にて手帳を呈示して購入する。
【乗車券様式】
普通運賃については乗車時に車内で支払うため、特になし。
定期券の様式については入手不可のため、掲載しない。
東京都民に対する制度
【対象者】
本人のみ
身体・知的障害者:都営交通無料乗車券が交付され、無料で乗車できる。
精神障害者:都営交通乗車証が希望により発行され、無料で乗車できる。
※ 介助者については、各手帳呈示の上、割引運賃を支払う。
(参考)精神障害者対象の都営交通乗車証についての詳細は、コチラ
【備考】
無料乗車券・乗車証を所持しない都外の精神障害者に関しては、都営地下鉄、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーの割引がない。
都民に対する無料乗車券の制度を含め、複雑な制度である。
担当部局や根拠となる制度が一元化されてほしい。
【根拠条文】
東京都乗合自動車条例施行規程 第18条、第18条の2
(条文抜粋)
第十八条 次に掲げる者の旅客運賃は、普通旅客運賃の五割の額とする。
(1号から4号まで…身体・知的・精神障害者、被救護者に関する条文→本稿では省略)
第十八条の二 東京都シルバーパス又は東京都精神障害者都営交通乗車証を所持する旅客の旅客運賃は、無料とする。
※ 都営交通無料乗車券所持者に関する条文が同規程に存在しないが、別の根拠で無料になっていると思われる。
【情報出所(公式HP)】
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/bus/fare/discount.html#a2
http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/ag10116561.html
https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/other/kanren/fare/free.html
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/jousyasyo.html
運賃の障害者割引の提供有無は、運送約款の規定によらず、最終的には各事業者の判断となる。この割引制度は各事業者の好意と理解によって成り立っていることを理解された上で利用されたい。