2020年4月7日、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の対策のために、国から「緊急事態宣言」が発出されました。それによって、はたらく人を含めた多くの人々が外出を避けて、自宅など職場以外で、在宅勤務などのテレワークを行うようになりました。休業している会社ではたらく人々も自宅待機中の生活かと思います。
筆者の金海も業務がクリティカルな会社に勤務していますが、オフィスへの出社を禁じられ、自宅から会社のシステムにリモートでアクセスして、日々の業務を継続しています。
双極性障害・自閉症スペクトラム障がいの当事者として、精神的負荷の高い満員電車での通勤を避けられ、通勤時間を節約できるメリットが多いのですが、いかんせん外に出ないため、運動不足で体重が増えがちです、笑。
在宅勤務での大きな課題が、生活リズムの管理です。本稿では、世界的な外出自粛の措置に際して日本うつ病学会が公表した提言を引用させてもらい、いかに生活リズムを保ち、自己管理を行っていくかのこつを考えていきます。はたらく人に限らず、気分障害等で自宅療養している人にも参考になると思います。
なお、本稿で引用する内容については、引用や転載が自由である旨記載されているので、その内容をそのままご紹介します。
目次
在宅勤務のメリット・デメリット
筆者の実感として、在宅勤務について感じるメリットやデメリットを、つらつらと列挙したいと思います。
【メリット】
● 満員電車に乗っての通勤負荷を回避できる点
● 通勤時間が浮いた分が自分の時間として使える点
● 介護や育児など家庭の用事を同時並行で行うことができる点
● 発達障害の人には、自分にとっての望ましい環境で仕事を行える点
【デメリット】
● 仕事とプライベートの公私の区別があいまいになる点
● 定時に業務を終了せず、時間外に業務を行いがちな点
● 仕事や人間関係のストレスが、本来休息の場所である自宅に持ち込まれる点
● 机や通信環境を自分で揃える必要がある点
● 体への日照不足で、生活リズムが乱れがちになる点
日常生活を規則的に送るための自己管理術【引用】
日本うつ病学会が4月7日に行った提言「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ」には、気分障害の患者にとって有益な示唆に富む内容が含まれているので、その一部分である「日常生活を規則的に送るための自己管理術」をそのまま掲載したいと思います。
● 自宅待機や在宅勤務であっても、自分自身で毎日決まって行う日課を設定しましょう。そうすることで、あなたの体内時計は安定して働くようになります。
● 毎日、同じ時刻に起きましょう。決まった時刻に起床することは、体内時計が安定して働くために最も大切です。
● 毎日、一定時間を屋外で過ごすようにしましょう(訳注:密閉・密集・密接の3密の状況を避け、一人でいられる場所で)。体内時計の時刻合わせには、朝の光が欠かせません。朝といっても、お昼近くよりは、午前中の早い時間帯が望ましいでしょう。
● もし、あなたが外に出られないとしても、少なくとも2時間は窓際で過ごし、日の光を浴びながら、心の落ち着ける時間を持ちましょう。
● 在宅での仕事や学習、友人との電話、料理など、毎日行ういくつかの活動はやる時間を決めましょう。そして、毎日、同じ時間に行いましょう。
● 毎日、運動をしましょう。できれば、毎日、同じ時間帯で。
● 毎日、同じ時間に食事をしましょう。食事の時間になっても、食べたくない時もあるかもしれませんが、それでも時間が来たら少量でも良いので何かを口にしましょう。
● 人との交流は、たとえ社会的距離確保の期間中であっても大切です。リアルタイムに考えや気持ちを分かち合えるような人はいるでしょうか?テレビ電話か音声通話かはどちらでも結構ですので、可能そうな方とコミュニケーションの機会を持つようにしましょう。すぐに相手が思いつかなくとも、誰かいなかったかを思い出してみましょう。LINEのような文章だけの会話であっても、リアルタイムにメッセージが行き交うものであれば大丈夫です。そして、毎日、同じ時刻にそういった相手とコミュニケーションするスケジュールを持ちましょう。
● 日中の昼寝(特に、午後遅くの昼寝)は避けましょう。もし、どうしても昼寝が必要な方は最大でも30分以内に抑えましょう。昼寝は、夜の深い睡眠を妨げます。
● 夜間に明るい光(特にブルーライト)を浴びるのは避けましょう。コンピューターやスマートフォンのディスプレイも含まれます。ブルーライトは、睡眠に不可欠なホルモンを減らしてしまうことがわかっているからです。
● 自分自身に合った、起床と就寝の時間を決め、一貫してその睡眠リズムを保つようにしましょう。もし、あなたが夜型ならば、たとえ家族の人より少し遅く寝て、少し早く起きることになったとしても大丈夫です。毎日、同じ時間に床につき、同じ時間に起きることがポイントです。
同じことを毎日繰り返す:Twitter等のSNS活用も有用
要は、同じルーチンを毎日同じように繰り返すことが重要だということですね。
こういう有事の際、情報収集と世論の傾向を知ること、自分の意見の吐き出し、当事者同士での交流のために利用できるTwitterも有用なツールの一つだと思います。
筆者が実践していることが「おはツイ」。
毎朝7時から9時頃の間に「毎日」習慣的にツイートすることに意義があると思います。
ただし、刺激の強いツールなので、長時間の利用や夜間の利用には健康上の弊害があるとも考えます。筆者の場合は、一日当たりのTwitterの使用時間の上限を100分に制限しています。

こんな時だからこそ他者との交流が自分を癒す
業務であっても、一人暮らしで平日の日中、一人きりで 自宅にいることは、ひきこもり生活と同じです。だからこそ、単身者に対するひきこもり対策や心のケアがあると有難いですね。
他者と交流を図ることが上記の提言にも含まれていますが、今はリアルで交流することが不可能です。だからこそ、家族や恋人、親しい友人や(気分障がい・発達障がいの)当事者同士でLINEやZOOM、Teamsといったオンラインツールを利用して交流するのは有効だと思います。
ただし、当事者同士の交流では、言い出しっぺの主催者(ホスト)に負担がかかりがちです。主催になる方は、プロのカウンセラーによるカウンセリングを受けたりして、自己の負荷を減らす工夫が必要になるかと思います。
参考資料 References
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ」 日本うつ病学会 (2020.4)
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/2020-04-07-covid-19.pdf