もにす認定制度~障害者雇用に優しい中小企業~

就労支援
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もにす認定制度」とは、「ともにすすむ」から名前を取った、障害者雇用促進法に基づく厚生労働省の施策で、障害者雇用に関して優良な取り組みをしている中小事業主(*)を認定するための制度です。同制度は2020年より開始され、本記事の執筆時点では、特例子会社を含む22社が2020年10月から12月の間に認定されています。

もにす認定制度の認定を受けた企業は、自社の商品やサービスにこの制度の認定マーク(下記)を利用できたり、政府系金融機関の融資の金利優遇を受けられたりと、いくつかのメリットを享受できます。結果的に、募集に苦慮する障害者雇用の求人活動がしやすくなると思われます。また、障がいを持ち就労を目指す当事者にとっては、障害者雇用の取り組み方が良好な企業だということが分かり、安心して就労できる会社の目安にできるメリットがあるかと思います。

* 中小事業主の定義:常用する従業員数が300人以下の企業・個人事業主

もにす認定マーク(厚生労働省ウェブサイトから引用)

本稿では、個人事業主を含む中小企業担当者に対しては、もにす認定制度の概要やメリットを紹介し、障害者雇用を目指す当事者には、こんな取り組みがあるということを述べていきたいと思います。

もにす認定制度誕生の背景を推察する

ここでは、障害者雇用に関する中小事業主の認定制度ができた背景を、データから考えていきたいと思います。

毎年厚生労働省から「障害者雇用状況の集計結果」が発表されますが、その中に企業規模別の状況が含まれています。

企業規模別の障害者雇用の就労者数は、1-300人未満の企業規模における就労者数の合計が171,549カウント(**)、300-1,000人未満の企業での就労者数が117,412カウント、1,000人以上の企業では289,330カウントです。

** カウントの定義:障害者雇用の集計においては、短時間労働者や重度障害者を集計するために0.5人単位で数値を取るため、0.5人単位でカウントという単位を使います。

令和2年障害者雇用の集計結果より筆者が作成

企業規模1,000人以上の大企業は、会社数としては相対的に少なくても、各社で抱える就労者数は集計全体の約半数を占めるため、障害者雇用の受け入れ先としては主流だと言えます。一方で、企業規模300人未満の中小企業では、障害者の就労者数が全体の30%弱です。

また、企業規模別の障害者雇用の実雇用率は、100人未満の企業規模では1.74%、300人未満では1.99%と、法定雇用率の2.3%を満たしていない状況で、1,000人以上の大企業での2.36%に大きく水をあけられています。

令和2年障害者雇用の集計結果より筆者が作成

法定雇用率達成企業の割合も、企業規模1,000人以上の大企業における60.0%に対し、100人未満では45.9%、300人未満では52.4%と、中小企業が相対的に低いことが分かります。

障害者雇用の分野でも、障がいを持つ当事者の就労を大企業が囲い込み、中小企業が相対的に劣勢に立たされています。障害者雇用のノウハウが大企業より少なく、経営リソースも大企業より弱い中小企業を支援し、法定雇用率の上昇など障害者雇用の底上げを図るのが行政の役割ということが、本制度誕生の背景であると推察します。

もにす認定を取得するメリット(中小企業側)

この制度で定められた取り組みを行い、法定雇用率を満たすなど、この制度の認定基準を満たすと認定され、自社のビジネスのための諸々の支援を受けることができるようになります。

もにす認定マーク(障害者雇用優良中小企業主認定マーク)の使用が可能

自社の商品やサービス、広告やハローワークにおける求人票にこのマークを表示できることによって、良好な障害者雇用に取り組んでいることを対外的にアピールできます。

● ハローワーク等の行政機関が周知広報してくれる

自社がこの認定を取得していることを、厚生労働省や労働局、ハローワークが広報してくれます。自分の会社の障害者雇用の取り組みに、国がお墨付きを与えてくれるということです。

● 政府系金融機関における融資の利率優遇を受けられる

政府系金融機関である日本政策金融公庫による融資制度「働き方改革推進支援資金」の融資の対象者として、非正規雇用の処遇改善に取り組む企業や障害者雇用(合理的配慮の提供)に取り組む企業などが挙げられます。もにす認定を取得した中小企業はこれらの対象に含まれ、この融資制度による金利優遇を利用できます。

● 公共調達における加点評価を受けられる

官公庁相手のビジネスを推進しやすくなります。

もにす認定制度に限らず、くるみん認証やユースエール認定などを取得した、働き方改革を実践している企業に対しては、金融機関もそれらに対応した融資を行うようになってきているようです。ESG投資と考え方が似ていて、社会的貢献をすることによって、自社のビジネスに金融機関からの支援が得られやすくなっているかと思います。

もにす認定取得企業で就労するメリット(当事者側)

今まで企業にとってのメリットについて触れてきましたが、障がいを持った当事者としては、何を知っておけばよいのでしょうか。

本稿を執筆している時点で、もにす認定を取得している企業は、特例子会社を含め22社です。業種は様々ですが、いずれも障害者雇用を熱心に進め、合理的配慮を得やすく、就労を長く続けることができうる会社だと思います。

中小企業は障がいに対する物理的な配慮や雇用管理が大企業よりも行き届いていないのが現状ですが、この認定を取っている会社は、中小企業であっても配慮をしっかり受けられ、安心して応募できる会社であるという指標になるかと思います。

ハローワークで就活を行う場合、求人票にはこの認定マークが表示されるので、求人票でマークを見かけたら他より安心できるかも、と思って良さそうです。

厚生労働省のウェブサイトには、認定された会社のリンク集があるので、応募する際の企業研究に利用できるかと思います。

今後、認定を取得する企業が増えるかと思うので、読者の皆様にも状況を注視してほしいです。

参考資料 References

障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)(厚生労働省)2020

障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)
障害者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組の実施状況などが優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する制度についてのページです。

もにす認定制度認定事業主一覧(厚生労働省)2020

障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)認定事業主
障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)の認定事業主についてのページです。

令和2年障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)2020

令和2年 障害者雇用状況の集計結果

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