東北地方第一の大都会、杜の都仙台市内を走る市営地下鉄と市バスにも障害者割引(福祉割引)があり、精神障害者保健福祉手帳の所持者にも割引が適用されます。
仙台市交通局管轄の地下鉄および市バスには従前から障害者割引がありましたが、精神障害者への導入は遅く、さらに割引対象者が宮城県内在住に限定されていました。2021年4月になってからその縛りがなくなり、障害者手帳所持者であれば手帳の発行自治体を問わず、仙台市地下鉄・市バスの福祉割引を等しく受けられるようになり、所用で仙台を訪れる当事者(特に精神障害者)や住民票を移せない市内在住者に優しくなりました。
現在、埼玉県に在住する筆者も所用で仙台を訪れましたが、障害者割引の交通系ICカードである「福祉割引用icsca(イクスカ)」を作り、割引運賃で地下鉄を利用できました。
本稿では、仙台市の地下鉄および市バスにおける障害者に対する運賃割引制度の概要、割引きっぷの購入方法を説明します。
また、仙台市地下鉄・市バスの交通系ICカードである「icsca(イクスカ)」にも障害者用カードがあり、乗車の都度割引きっぷを購入する必要がありません。障害者用カードである「福祉割引用icsca」についても説明します。

※(免責事項)以下の情報は本稿執筆時点の概要であるため、実際に利用される際には、詳細について当該事業者に各自確認をお願いします(特に介助者の付き添い要否に関して)。
※(お願い)本記事の内容を参照・引用して他のウェブサイトに掲載する場合、情報引用元として必ず、本ウェブサイトのURLを当該サイト上に明記してください。
目次
運賃割引制度の概要
【対象者】
精神・身体・知的障害者
※ 障害者本人、介助者ともに割引対象です。第1種・第2種や障害等級の区別もありません。
※ 手帳の発行自治体による制限は特にありません(手帳を所持していれば割引を受けられます)
※ 三障害の障害者手帳以外にも被爆者健康手帳等でも割引が適用されます。
【対象区間・設備】
仙台市地下鉄・市バス全区間
※ 宮城交通の路線バスでも障害者割引がありますが、従前通り障害者手帳発行自治体による制限があります。仙台市・宮城県域外の精神障害者は、宮城交通路線バスの運賃割引を受けられません。在住者が福祉割引用icscaを利用する場合でも、障害者手帳の提示が必要ですので、ご注意ください。
【運賃割引率】
● 普通乗車券 50%(障害種別・等級による区別なし)
● 市バス定期乗車券 30%(障害種別 ・等級による区別なし)
● 地下鉄定期乗車券 23.1%(障害種別 ・等級による区別なし、通学定期は対象外)
※ 本人、介助者ともに上記割引率が適用されます。
※ 普通乗車券・定期乗車券(大人のみ)ともに割引が適用されます。

普通乗車券の買い方・利用方法(地下鉄)
【普通乗車券を券売機で購入する場合】
駅の自動券売機で「ふくし」のボタンを押してから、乗車する区間のきっぷを購入し、自動改札機を利用します(券売機でのきっぷ購入時点での手帳提示は必要ありません)。

紙のきっぷの券面には「小・割」が表示されています。

【交通系ICカードを利用する場合】
手持ちのICカードで自動改札を通って入場し、目的地の駅の有人改札で駅員さんに障害者手帳を見せて、割引分の運賃を差し引いてもらいます。
ICカード「福祉割引用icsca」の買い方・詳細
福祉割引用icscaを購入すると、乗車するたびに障害者手帳を提示する必要がなくなり、スムーズに乗車することができます。ただし、利用できるのは仙台市地下鉄および市バスおよび宮城交通路線バスに限られ、JR線ではSFチャージ分があっても自動改札を通過することはできません。また、精神障害者については、適用範囲が限定されます。
毎年10月31日が有効期限で、次回乗車する時に障害者手帳を再度提示しての更新が必要です。
※ 福祉割引用icscaを利用できるのは障害者本人限りで、介助者は大人用icscaを利用しての有人改札での精算になります。

【購入方法】
地下鉄定期券売り場、バス営業所で障害者手帳を提示して購入します。記名式カードを発行するための氏名や生年月日、電話番号といった個人情報を申込書に記入して提出する必要があります。
デポジット500円+SF分500円の1,000円から購入することが可能です。

【使用方法】
カードの右下に「福祉」と有効期間がともに表示され、割引カードであることがわかります。
処理なしにそのまま自動改札機を通れ、半額の割引運賃が差し引かれます。有人改札を通る必要はありません。

余談ながら、icscaのカードキャラクターのすずめがかわいいですね♪
障害者割引の条件がシンプル
仙台市においても、精神障害者保健福祉手帳の発行自治体が限定されなくなりました。また、普通乗車券、定期乗車券とも、手帳の種別や等級での割引内容の区別がなくなっていることは、障害者差別解消法の理念や三障害の不公平解消の観点では望ましいといえます。

参考資料 References
icscaご利用ガイド(仙台市交通局、2021/4)
※ 宮城交通の障害者割引については、同社に電話で確認済(2021/08/24付け)