障害者雇用状況の集計結果からみる求人のトレンド(2021年)

就労支援
スポンサーリンク

去る2021(令和3)年12月24日、厚生労働省から「令和3年 障害者雇用状況の集計結果」が公表されました。この集計結果は、毎年6月1日時点での各民間企業および官公庁等の機関から報告された雇用者数に基づくもので、毎年12月中に発表されることが多いです。今年も、例によって12月中の公表となりました。

コロナ禍に起因する一部業界での非正規雇用労働者の雇い止めや解雇等の動きにもかかわらず、障害者雇用は堅調で、この集計結果を見る限りは障害者雇用で働く当事者の数は過去最高になっています

障害者雇用で働くにあたって、情報収集等で利用する機関はハローワークが中心的ですが、民間職業紹介事業者(人材エージェント)を利用して求職活動を行うことも可能です。

数多くある障害者雇用に特化した人材エージェントの求人をざっと探してみましたが、求職者のキャリアやスキルに合った多様な求人があるように見受けられます。依然として、旧来の一般事務職や軽作業職、あるいはアシスタントレベルのポジションの求人が多いですが、単純労働が主体と言われる障害者雇用も段々多様になってきていると感じます。

本稿では、今回厚生労働省から公表された障害者雇用状況の集計結果を読み解いたうえで、民間企業に関するここ直近の障害者雇用の求人のトレンド(雇用形態やリモートワークの有無など)について筆者なりに見ていきたいと思います。

障害者雇用状況の集計結果は例年と変化なし

今回の集計結果では、障害者雇用で民間企業に就労する人数は約59万7千人と、前年から約1万9千人増加して、18年連続で過去最高のものとなっています。コロナ禍で非正規雇用を中心に雇い止めや解雇が相次いだという報道が多かった中では、障害者雇用の状況は非常に堅調ではないかと考えます。

障害の種別で見てみると、身体障害者が35万9千人(前年から3千人増)、知的障害者が14万人(前年から6千人増)、そして発達障害者を含む精神障害者が9万8千人(前年から1万人増)という状況で、ここ数年ではあまり変化がないトレンドです。精神障害者の就労者数の伸びが著しい傾向も、ここ数年続いています

三障害の構成比でみても、身体障害者が約60%、知的障害者が約23%、精神障害者が約16%で、依然身体障害者と知的障害者とで大半を占めるものの、精神障害者が数で追い上げている状況です。

今年2021年3月から法定雇用率が上昇し、民間企業において2.3%に引き上げられました。一企業の中における全就業者の中で障害者が雇用されている割合である「実雇用率」が、今回2.2%です。従業員100人に対して2人(と少し)の障害者が働いているイメージです。実雇用率が今回過去最高であっても、法定雇用率の引き上げという事情があって、法定雇用率よりも若干低いです。また、2.3%の法定雇用率を達成できている企業の割合が、前年より減少しているのも然りと言えましょう。

業種別でみると、宿泊業や飲食業での就業者数が減少していますが、コロナ禍における雇用全体のトレンドと合致していると言えます。

企業規模別でみると、従業員数1,000名以上の企業における就業者数が約30万人で、いわゆる大手企業が障害者雇用の大半の受け皿になっています。中小企業にとっては、障害者雇用をしたくても人材が見つからないし、財務的な負担も重くなるし、法定雇用率の引き上げは厳しいことには違いありません。

実雇用率でも、従業員数1,000名以上の企業では法定雇用率である2.3%を超えている一方、それ以下の規模の企業での実雇用率は法定雇用率に届いておらず、こちらからも厳しい状況であることがわかります。

昨今の障害者雇用の求人のトレンド

厚生労働省の集計結果を読み解くだけでは、例年とあまり内容に変化がない投稿になってしまうため、ここ最近の障害者雇用での求人の動向を筆者なりに考えて、本稿の肉付けをしたいと思います。

障害者雇用では、企業と直接雇用の契約を結ぶことができる大きなメリットがある一方で、雇用形態が非正規雇用の契約社員・嘱託社員での求人が多いです。それらは不安定な雇用形態であることから、転職のチャンスをうかがっている当事者も多いのではないかと思います。余談ですが、筆者個人的にはこれ以上転職は望みたくありませんが、有期雇用の状況によっては止む無しとなることでしょう。

いわゆる障害者枠での民間企業からの求人を取りまとめているのが、ハローワークと民間職業紹介事業者(人材エージェント)です。(余談ですが、例えばある就労移行支援事業所が民間職業紹介事業者としての認可を得れば、自ら企業から求人を集めてきて、利用者をマッチングの上で紹介すれば、企業から成功報酬をもらえることになります。実際そんな会社はいくつかあります。 )

そのうちハローワークから出ている求人は、法定雇用率を満たすための行政指導の一環で出している(有効とは言えない)求人も一定数あるので、あまり良質な求人媒体であるとは思いません。

その一方、人材エージェントから出ている求人がすべての人にマッチするわけではありませんが、うまくマッチングできる状況であれば、良質な求人から応募することが可能になるかと思います。筆者は障害者雇用で就労する一当事者で、人材エージェントで従事しているわけではありませんが、ある人材エージェントが出している求人からその傾向を考えてみました。

● 雇用形態

非正規雇用である契約社員・嘱託社員の雇用形態が全体の大半を占めますが、そのうちの多くが正社員登用ありを謳っています。応募者を確保するための惹きつけ文句である可能性があるので、応募する企業での登用実績が本当にあるのか、内定を受け入れる前によく確認しておくことをお勧めしたいです。

長期就労の上での懸念がない正社員の求人は全体の4分の1程度ですが、それなりのキャリアやスキルが要求されることには違いないと見受けました。

正社員の他に「無期雇用の契約/嘱託社員」というのもあって、求人する企業の中には、従業員の身分を厳格に区切っていることが多々あります(法的には双方とも正社員と言えるのですが、賞与や退職金、福利厚生などの条件が線引きされていて、差があることが多いです)。それが障害者枠の実態に即しているのは確かですが、これは障害者枠で働く当事者のことを正社員並みの戦力とはみなさない会社という意味です。企業選びの参考にしていただきたいと思います。

● 職種

人材エージェントから出ている求人は、圧倒的に一般事務職の募集が多いです。一般事務職以外には、人事・総務という管理部門のポジションやエンジニアなどの専門職のポジションもありますが、障害者枠の場合はバリバリの戦力というよりは、そのアシスタントレベルの求人が主流とみています(外資系企業は例外で、どんな事情でもバリバリの即戦力しか採用しません)。

その他には「オープンポジション」というものがあって、応募者のキャリアやスキルにマッチするポジションを応募者ごとに企業側で検討してくれるものです。筆者もオープンポジションで転職していますが、いろいろな職種を経験している場合には適しているかもしれません。

● 勤務地(オフィスワークかリモートワークか)

コロナ禍でリモートワーク(在宅勤務)がある程度普及したと思われますが、障害者雇用でも、職種や障害特性によっては、オフィスワークではなく、リモートワークで就労する方が良い場合があると思います。

というわけで、リモートワークが可能か否か、求人サイト上で検索してみたところ、通勤前提のオフィスワークが大半を占めていて、リモートワーク可能な求人は、まだまだ少数でした。

リモートワークを第一条件に検討したい場合、障害者枠にこだわるのではなく、障がいをクローズドにして健常者と同じ立ち位置で働くという考え方もあろうかと思います。

● 労働条件(賃金などの条件)

人材エージェントから出ているフルタイムの求人では、月給や年俸で報酬が提示されていることが多いです。ただし、フルタイムの求人でも時給で提示される場合がありますし、パートタイムの場合はそもそも時給制です。

障害者雇用における人数カウントの算入の基準が週当たりの労働時間で、短時間労働者であっても週20時間以上がその対象です。そんなわけで、労働時間を少なくしたい場合には、そもそも障害者枠での募集がない場合があることを留意しておきましょう。

月給制であっても、時給換算した額が、国で定められた最低賃金を上回っているかどうか確認しましょう(みなし残業が絡む場合は特に注意しましょう)。例えば、2021年10月現行の最低賃金額は、東京都で時給1,041円です。

参考資料 References

● 令和3年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

令和3年 障害者雇用状況の集計結果

● 都道府県別の最低賃金額(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
タイトルとURLをコピーしました