沖縄本島を障害者割引で駆け巡る

行政支援
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沖縄本島には、障害者手帳を所持する筆者も何回か訪れることがあります。沖縄は、米国から日本への返還から2022年でちょうど50年経ち、観光で訪れる土地としての魅力が一層増しています。

沖縄本島内の移動の手段としては、レンタカーを自分で運転するのが正直なところ、最も合理的と考えます。ただし、那覇市街の中心部は公共交通機関だけで事足りる地域であるのも事実です。

沖縄では、障害者に対する公共交通機関の割引や観光施設の入場料金免除などの措置がしっかりしていて、障害者手帳を持つ人に対しても寛容な土地かと思います。

筆者も、前回の訪問までは疑問なくレンタカーを利用していましたが、今回は運賃の障害者割引を活用して、あえて公共交通機関での移動の可能性を探ってみることにしました。

本稿では、沖縄に向かう航空運賃の障害者割引の事情、沖縄本島内での公共交通機関や観光施設などでの障害者割引の状況について考え、筆者の体験を織り交ぜて綴っていきたいと思います。

目次

観光施設や公共交通機関の料金割引・減免は余暇活動と相性ヨシ!

那覇空港から直結でゆいれーるに乗車可能!

言うまでもなく、沖縄には観光スポットが多く、観光産業で成り立っている地域です。嬉しいことに、障害者に対しても経済面での配慮が感じられます。

例えば、首里城公園をはじめとした世界遺産のグスクが沖縄本島内に何か所かありますが、いずれも障害者手帳を所持する人には料金を減免していて、無料で入場できます。

そして、観光スポットを巡るための移動手段である「ゆいレール」や路線バスといった公共交通機関においても、精神障害者保健福祉手帳を所持する人を含めて運賃の障害者割引制度が整っています。

沖縄に向かう航空運賃の障害者割引について

LCCのPeachには障害者割引はなし

観光や用務で沖縄県に向かう場合、例外を除いて飛行機を利用することになろうかと思います。

航空会社の中でも、筆者がよく利用するPeachやジェットスターといったLCC(格安航空会社)の運賃体系はとてもシンプルかつ安価なため、運賃の障害者割引はありません

一方で、JALやANAなどの大手航空会社の運賃体系はとても多様で、精神障害者保健福祉手帳所持者を含めて「障がい者割引運賃」の設定があります

【航空運賃の障がい者割引の特徴】

● ノーマル運賃をベースにした割引運賃のため、どの便を利用しても運賃が同額で、ピークシーズンにも座席の予約が取りやすい。

● 一方で、便によって金額の変動がある早割運賃のほうが、障がい者割引運賃よりも安価なことが多い(ピークシーズンは安い予約クラスで取りにくく、結局高価に)。

● そして、前述したLCCの運賃設定が根本的に低廉で、障がい者割引運賃を上回ることが、ピークシーズンを除いてほとんどない。

● ただし、LCCや早割運賃は予約変更や取消に制限があり、障がい者割引運賃は予約変更や取消が自由自在。

したがって、通常はLCCや早割運賃を活用し、席が取りにくく、運賃が高額なピークシーズンには障がい者割引運賃を活用するのが賢いかと思います。

沖縄の場合、LCCが就航しない離島間の便において、障がい者割引運賃を利用することが多くなると考えます。

那覇市街を走る「ゆいレール」の使い勝手は最高!

用務や一人旅で沖縄を訪れる場合、那覇市街中心部にあるホテルに宿泊することが多いかと思います。そして、移動自体那覇市街を出ないケースが多いのではないでしょうか。

その場合、レンタカーを利用しなくても、モノレールの「ゆいレール」を利用すれば十分です。

那覇空港に直結し、道路渋滞とは無縁で時間が読めて、交通費が安価で済み、いいことが三拍子です。実際に、多くの観光客が利用していて、それ以上に地元の人々にもすっかり定着した交通機関になっています。

那覇市街で随一の観光スポットである首里城公園にも、ゆいレールの首里駅から徒歩で向かえます。

そんなゆいレールにも運賃の障害者割引制度が完備しています。ゆいレールに関する詳しい情報については、筆者の別稿(以下のリンク)を参照してください。

路線バスに乗ると障害者割引で多くの場所に向かえる

沖縄本島内には路線バスが多く走っていて、いろいろな場所に安価に移動することができます。そして、ゆいレール同様、運賃の障害者割引がちゃんと適用されます。

沖縄本島のバス交通のハブである那覇バスターミナルから、路線バスで向かうことができる主な観光スポットには、次の場所があります。

● 沖縄美ら海水族館(本部町)

沖縄観光のマストスポット。那覇市から100km以上離れていて遠いですが、高速道路を経由する路線バス117番が走っていて、那覇空港や那覇バスターミナルから片道約2時間で向かえます。使えない路線バスが多い中でも、この系統は利用価値があるかと思います。

※ 障害者割引が適用されるのは、路線バスの117番です。他にも直通のツアーバスがあるようですが、障害者割引があるかは不明です。

● 国際通り(那覇市)

那覇市街の中心部にある約1.5kmにわたる目抜き通り。ゆいレールの県庁前駅、牧志駅、そして那覇バスターミナルからほど近いところにあり、多くの路線バスが国際通りを通っています。

● 識名園(那覇市)

世界遺産の庭園。那覇市内にありますが、ゆいレールからはアクセスできず、路線バスを利用します。

● 海中道路(うるま市)

沖縄本土と東海岸の離島、平安座島までつながっている道路(沖縄県道10号線)。那覇バスターミナルから27番バスに乗車し、約2時間で屋慶名バスターミナルに着きます。高速バスではなく一般道路を走るため、道路渋滞で時間が読めないです。正直なところ、レンタカー利用が良いです。

市営のコミュニティバスも走っていますが、自分で走る悦びを感じてもいいかな

● 斎場御嶽(南城市)

沖縄南東部にある聖地。那覇バスターミナルから38番や338番系統で向かえます。

【沖縄本島路線バスの系統番号について】

1番から19番までの系統が那覇市内線、20番から110番までが一般道路を走る市外線、110-150番台には高速道路を経由する系統があります。200番台はおもろまち駅を発着します。

OKICAがあると便利~沖縄本島の路線バス事情~

路線バスに乗車して運賃の障害者割引を受けるには、沖縄本島限定の交通系ICカード「OKICA(オキカ)」障がい者用カードを持つと大変便利です。手帳をその都度見せる必要がなく、ICカードタッチだけで自動的に割引運賃が適用されます

OKICAに関する詳しい情報についても、筆者の別稿(以下のリンク)を参照してください。

沖縄本島の路線バスには、路線系統ごとに運賃先払い式と運賃後払い式の2タイプがあって、結構複雑です。いずれのタイプとも、前扉から乗車して前扉から降車します(中扉も付いていますが、あまり使用しません)。

運賃先払い式のバスでは、乗車時に均一運賃を支払います。降車時はそのまま降りればよいです。

運賃後払い式のバスでは、乗車時に整理券を取るかOKICAをカードリーダーにかざします。降車時に運賃を支払います(OKICAを運賃箱にかざす)。

沖縄本島内を走る路線バスは4社の会社によって運行されています。路線網の全体像は複雑で理解しがたいですが、「沖縄本島バスルートマップ」やネット上で閲覧できる路線図を見ておくと、いくらかは理解の助けになります。

バスの停留所名と乗車するバスの系統番号は、乗換案内アプリを使うと容易に検索できますが、バス会社同士の連携が十分ではなく、検索にコツがいります。そして、肝心のバス停の場所が分かりにくく、バスが時間通りに来ることはまずありません。筆者も、不安とイライラが募りました。

障害者割引で滞在をエンジョイ~筆者の実体験~

筆者が沖縄本島に滞在中、障害者割引で利用した観光スポットや交通機関、訪れたお店をここでご紹介したいかと思います(お店には障害者割引はありません)。

● 首里城公園(那覇市)

ゆいレールの首里駅から徒歩で、あるいは路線バスの「首里城入口」バス停を利用して向かいます。

沖縄本島のマストスポットの一つで、世界遺産に指定されています。忌まわしいことに、2019年に失火で本殿が焼失し、本稿執筆時には再建中でした。

再建の様子を眺めつつ、内部を見学できますが、その入場料金が障害者手帳の呈示で無料になります。

● 首里そば(那覇市)

首里城公園に向かう途中のゆいレール首里駅付近には、何か所か沖縄そばを出すお店があります。筆者が訪れたのが月曜日のランチ時ということもあり、成り行きで「首里そば」さんで沖縄そばをいただきました。

そばがおいしいことは言うまでもなく、付け合わせで頼んだ混ぜご飯「ジューシー」も良かったです。

首里そば(大)600円とジューシー200円

● ブルーシールアイス牧港本店(浦添市)

那覇市街の中心部から国道58号線を8km北上した浦添市牧港というところに、沖縄アイスのブルーシール本店があります。筆者は那覇バスターミナルからここまで路線バスを利用して向かいました。お店の最寄りのバス停は「牧港」もしくは「牧港第一」ですが、那覇バスターミナルからの本数は多いです。

アイスクリームをいただけるだけでなく、グッズや体験施設もあって、本店の雰囲気を体験できます。

アイスコーヒー200円とダブルカップ600円

● さーたーあんだーぎー安室(那覇市)

沖縄ローカルのお菓子「さーたーあんだーぎー」の揚げたてを売っているお店です。ゆいレール石嶺駅の駅前にあり、ゆいレールを利用して向かうと、とても分かりやすいです。

白糖のは卵の風味でコクがあり、黒糖のは程よい甘さで風味がよいです。

プチさーたーあんだーぎー(黒糖)280円

● あまわりパーク勝連城跡(うるま市)

沖縄本島中部の東海岸に位置するうるま市の東部にある世界遺産の史跡です。城跡のてっぺんまで登ると360度の眺めが得られ、海中道路がはっきりと見えます。展示施設が2021年にできたばかりで、内部は快適です。展示施設から城跡の途中まで、電動カートで送ってくれます。

残念ながら路線バスではアクセスしにくいので、筆者はレンタカーで訪れました。

ここはうるま市が管理しており、障害者手帳の呈示で入場料金が免除になります(その場で減免申請書の記入が必要)。

レンタカー利用での移動がやっぱり合理的

結論ですが、沖縄本島の路線バスは非常に使いこなしにくいため、那覇市街の外に向かう場合はレンタカーを利用して自分で移動した方が合理的で、精神衛生上も良いです(ただし、レンタカーには障害者割引はありません)。

「運賃の障害者割引制度が完備している=公共交通機関が利用しやすい」わけではないのが、沖縄本島の路線バス網の実情です。

路線バスは数多く走っていて一見便利に使えそうなのですが、交通渋滞で所要時間が読めずにソワソワします。また、沖縄本島の路線バス網はあまり系統だっておらず、規則性を見出しにくいので、訪問者向きではありません。

那覇空港から那覇市街に向かう場合や那覇市街周辺に滞在するだけであれば、路線バスではなく、ゆいレールを利用すれば事足りるかと思います。

レンタカーを利用してドライブしつつ、観光スポットの入場料金の減免を受けるのが、クルマを運転できる障害者にとっては最も快適に滞在を楽しめるのではないでしょうか。

沖縄のレンタカーのナンバーは「わ」の他に「れ」も

改訂履歴 Revision History

2022年3月19日:初稿

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